山の上

だいたい自分のために書いてる

面白い話も面白くない話も、半分くらい聞き逃しながらも、なんとなく聞いてくれる人が好き/大雨の日のデート

 たった先日のことなのに週末を過ぎたらかなり忘れてしまったのが残念。わたしの新しい家から下北沢が5分圏内なので、嫌いだけど下北に行くことが多くなった。あんなスカスカな街なのに、なんで人は集まるのか不思議だった。ヘラヘラしてる人が多くて無理だとも思う。こう書くとほんとに自分は下北沢嫌いだな。まあ実際嫌いだけど。

 

 下北沢の愚痴はこれくらいにしてどんなデートをしたか書いておこう…。その日はわたしは早起きだった。前日に電話した心療内科の空きが10:55しかなかったことと、その日は千葉県に泊まる予定だったので、いつもなら15時に起きるところを8:40に起床して都内へ向かった。眠いのを薬でどうにか目覚めさせたら、某洋食レストランで食べたオムライスが全然胃に入らなかった。辺な気分のまま東京の自宅に向かい、大きな荷物を下ろして少し掃除した。下北まで徒歩含めて7分。暑い日がだんだん増えてきたと思った。

 

 わたしは集合に遅れがちだが、大体相手は更に遅れてくる。今日は早かった方だ。下北沢は再開発で来るたびに景色が変わり、前に比べて駅の入り口は開放的になった。下北沢駅で誰かを待っていると、知り合いに会うことが度々あるので緊張してしまう。その日は誰にも会わなかった。服が良い日は誰にも会わないという仮説が確実になりつつあった。

 

 やっと相手が来た。最近は暑いからパーカーは着ないらしく、謎の素材の服を着て来る。ここ二回は赤いトップス。季節でなにも変わらないのはニューバランスのスニーカーと体の小ささに見合わない大きな黒のリュック。

 

 その日は行きたいジャズ喫茶があったのだが何故か閉まっていて若干途方に暮れた。ほんとになにも知らないし、相手もなにも知らないようだった。ふらふらと歩いてたら突然相手が後ろを振り返って、近くに知ってる店があるから行こうと手を引っ張られた。すぐそこだった。5m圏内のビルの二階にあるそのジャズ喫茶は古本屋を併設していたがすこぶる小さい店で、ヨボヨボのおじいさんが一人でやりくりしている。カウンターは席から見えないので、見られてる感が薄くてなんとなく居心地がいい。下北沢の道を上から窓越しに見ていると、ほんとに変な人ばかりだし広告も店もなんかおかしい。変なものが受け入れられるのがここ世田谷区。たぶん。

 

 なにを話したか全く覚えていないけど、恐らくわたしはなにも話していなかった。相手の話すことを淡々と聞いた。わたしが質問したのは、演奏する人と演奏する曲のつながり みたいなの。いつもどおりゆっくりした話し方で教えてくれる。あとはツイッターで見かけた話題とか。わたしは面白いことを話せる自信は全くないので自分から話を振ることはないけど、面白い話も面白くない話も、半分くらい聞き逃しながらも、なんとなく聞いてくれる人が好きだ。わたしも人には面白くない話だってたくさんしてほしいと思ってる。それが友情だったり愛だったりするんじゃないか…わからないけど。仲がいいというのは、迷惑をかけたい気持ちなんだと。

 

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 途中から大雨が1時間弱に渡って降り始めた。滝のような雨だった。雨の音と、マスターのかける音楽と相手の語りを交互に、時々同時に、または集中して聴きながら、なにもしないことを楽しんだ。

 

 雨が止んだら会計をしてジャズ喫茶から外に出た。下北をまた少し歩く。虹がかかっているのを知らずに撮った建物の写真は、後から見た時に建物の後ろにあった虹の存在に気付いて嬉しくなった。一緒にいた人は気付いていたのだろうか。

 

 

 そのあと私たちは散歩しながら「暇だね」的な話を延々と続けた。途中でオムライスの美味しそうなレストランを発見し、美味しそうだねと言いながらもスルーして駅へ向かい自宅へと向かった。コンビニでいつも通り、新作のお菓子を買っておうちで食べ比べをする。わたしの家について相手が寝転んだ時に、「今度さ、さっき見つけたオムライス屋さん行こうよ」と言われて、やっぱ行きたかったんじゃん、と突っ込んだ。夜がふける前に相手を自宅から見送る。いつも通りの週一回のデートはいつも変わらない。それが良い。

 

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