山の上

だいたい自分のために書いてる

詩 - #4

 アメリカが面白いのは、とにかく広いことだ。飛行機に乗って縦横無尽に大陸を旅するとき、空から見下ろす荒涼の大地、険しい山脈、不気味なくらい整頓された灌漑農業のサークルは、関東の殺伐とした郊外出身の私の興味を異常なくらい引き寄せた。

 

 縦横無尽に移動すると空気の重さが違う。マイアミに到着した時の鼻の奥が若干苦しくなるような湿気は、日本とも違って、背中の重みがやや増したような、不思議な圧力がある。ニューヨークからやってきた東洋人の私はラティーノがほとんどを占めるマイアミの空港で、棘のような空気が体の中に入ってこないことに安心感を得られずに、とにかくフラフラ歩き回っていた。

 

 空港の駐車場はコンクリートで作られた、ショッピングモールの立体駐車場を思い出させる構造だった。この空港にも電車は通っていないらしいから、どうしよう。マイアミのビーチまで車で20分。なんの車にするか、どの車にするかを見極める作業は時折旅人にとっては命取りになるから、意を決して車に乗り込むことすら、よくあることだ。