山の上

だいたい自分のために書いてる

福島にいる

 

・福島にいる。本当は予定があったのだけど、昨日先方の都合でキャンセルになった。

 

しかし、自分は福島に行く気持ちで準備していたので、結局いわき市にやってきた。

常磐線で3時間、ウトウトしながら電車に乗り続ける。福島に来るとなんとなく空が広くなったような気がした。入道雲の形がはっきり見えて、写真を撮りたくなった。写真を撮った。先週望遠レンズを買った一大決心に対して、心からよかったと思えた。

 

東京は焼けるような暑さだったけど福島は苦しくない暑さで助かった。ヒートアイランド現象は存在します。ホテルを駅前ではなく国道沿いに予約してしまったので、小さい駅から30分歩いて辿り着く。線路の向こう側は田園、こちら側は住宅地。小規模の県営団地が途中に現れたのでじっくり観察。

 

 

 

 

 

 

 

・そういや、福島の被災地近くに来るんだから下調べをしようと、昨日までyoutubeなり動画コンテンツを観まくったらその結果、電車の窓から人口のデカいものを見つけるだけで原発を想起して怖くなってしまった。

 

地震とか津波は完全に自然災害で「自然はコントロールできない」「自然には敵わない」とか言うけど、原子力の問題って人間が生み出して人間にかえってきてるから、おれら人工物ですらも手に負えてなくね?と怖くなってしまう。自然に飲み込まれて死ぬ運命ならまだ納得できるけど、なんというか、ある意味の自滅。そんな死に方なんて絶対に嫌だ。でも自分は電気を使って生きている。このブログも電気があるから書けている。その供給元は原発だったのかもしれないし…。

 

ただ、こんなのを思うのは日頃から原子力発電所に慣れていないからだ。地元の人からすれば地元のモニュメントみたいな感じかもしれないし、就職先としても考えられていたかもしれない。この自分が持つ嫌悪みたいなものが、自分自身でものすごく嫌だ。これは、福島に対する風評被害と同じ気持ちではないのか。

 

 

 

 

 

 

原子力発電のことを調べれば調べるほど、その圧倒的な意味のわからなさに恐怖を抱いしてしまうのが問題だなと自分を見て思う。説明されてもその物理構造がほとんど理解できない。

私は実際「とにかくやばいもの(核燃料)がやばいもの(熱とか放射線)を出す、それを大量に浴びたらやばいことになる」くらいにしか思えていない。核のエネルギーは大きいけど、そのベクトルの言語化がされていたとしても納得が行かない。放射線は目に見えない。目に見えない、形のないものが怖い。

 

 

 

 

 

 

・核燃料廃棄物の量と管理方法や期間を見て欲しい。私はこれで本当にゾッとした。

 

使用済燃料棒は、冷やされたあと再処理工場へ送られる。そこから出る高 レベル放射性廃棄物は、ガラス固化され、30 ~ 50年たって、放射能が少 なくなってから、深さ300m以上の地下深くに埋める。低レベル放射性廃 棄物のうち、液体は除染後、海に放出される。固体はドラム缶に入れて、セメントで固め、深さ4m以上の土中に埋めて300年間管理し続ける(73 pの図)。こうした処分方法は決まっているが、高レベル廃棄物を埋める場 所は見つかっていない。高レベル廃棄物は世界に約25万トンもある。

http://www.otsukishoten.co.jp/files/genpatsu70-73.pdf

 

・地下 300 メートルより深い岩盤の中に埋める。この方法で最終処分を行った国はまだひとつ もない。放射能が低くなるまで 10 万年以上もそこで保管し続けることになる。  

 

フィンランドでは、500 メートルの地下施設を建設中だが、放射能が16 分の1になる 10万年後まで、だれかが堀りかえさないようにするために、どうするかを真剣に話し合っている。 10万年後といえば想像しにくいが、10 万年前はネアンデルタール人の時代である。なお、地層処分の費用は約3兆円と試算されている。

 

使用後、300メートル地下で50年経過してから、別の工程を経て、その後300年も埋め続ける。私は生きていない。その10万年後にやっと掘り起こせるようになる。私の子供が生まれたとして、そいつらも生きていない。何世代も先の、まだ生まれてない人類にここまでの責任を押し付けるなんて言葉も出ない。というか人類が生きているかもわからない。

 

人類が生きているかもわからないからこそやろうと思えちゃったのかもしれないけど。ああ本当にしんどい。

 

 

 

 

 

 

・今日いわき駅の近くの回らない寿司屋に行ったら原発作業員の人がいて、話を色々聞いた。福島出身だというだけで何回も差別に遭った話が溢れるように出てくる。いろんな人に話しているんだろうと思わせる流暢な喋りに驚かされる。私は心の底からその人の話に同情した。差別はもちろんいけない。

 

ただ、原発が無くなってしまったらこの人は仕事がなくなってしまうのかと考えて、やるせない気持ちになった。原発が作られるのはただ田舎という訳ではなく、雇用を生み出す必要がある場所に作られるだけなのだとしたら、失われた雇用はどうすればいいんだろう。そんなことを考えていたら単に原発反対なんて言えない。

 

 

 

 

明日原発周りに行く予定だけど、怖くて嫌になってきた。こんなに目を背けたくなるのは初めてだ

 

youtu.be