山の上

だいたい自分のために書いてる

スクーターのメモ

3/22、マンハッタンを北上するときにスクーターに乗った。シティバイクみたいな、レンタサイクルのスクーター版。最大何キロまで出るのかわからないけどバイクに乗ったことのない自分からしたらとにかく速くて、後ろに乗ってたのだが、笑いが止まらなかった。車の間をすり抜けて、環境の悪いアメリカの道路を上下にガッタンガッタン揺れながら、しかし爆速で進む。正直、怖い。スクーターってシートベルトが無いことを初めて知った。二人乗りをするときに、前の人の肩を握るしか無いことも。怖くて下なんか見れない。この二輪車は人が運転していて、下手したらこれは死ぬぞ!とわかっている。ただ、スクーターに乗ってマンハッタンのビル街を見上げる体験は、これまでのニューヨーク生活を踏まえた上で、最も正しい観光の手法だろうなと思った。

タイトル未定(ニューヨークの旅)その3

 うちのアパートに怪しい人間達が住んでいることは以前にも書いた通りだ。アメリカだからなのでは無く、うちのこのアパートのオーナーに問題があるのだろう、一切のドキュメントが要らず、本人確認もパスポートの提示も求められない。私はここのアパートを借りるのは2回目。

 

1回目にここに住んでいた時は隣の空き地になにやらモダンなビルが建築されているところで、朝7時から工事の音が鳴り止まず大変だった。しかし窓を開けると、駅へ向かう人がちらほら話しているのが聞こえた。このアパートは中華街の端くれにあり、また、メキシコ人街の隣にあるが、中国人はコミュニティ内で生活しているから、都心であるマンハッタンへ向かうためにこのアパートの前を通るのはメキシコ人が大半だ。ここに住んでからスペイン語の音が好きになった。

 

 

 私が住んでいるのは一階。同じアパートの二階には日本人の友達が住んでいる。二日に一回くらいは朝まで飲んだり、作品の話をしている、同居人的な存在である。

「私がいなかった一年半の間にこのアパートの住民に入れ替わりはあった?」


「ああ最近は安定してるよ、はなちゃんがいない間にその部屋は日本人の別の姉ちゃんが入居してた、いつの間にかその人も出ていったけど。」

「そうなんだ。もしかしたら、その人が内見にきた時に少し顔を合わせたかもしれない。あの人、いなくなっちゃったのか。」

 

ここのアパートに暮らす人間は突然やってきて突然いなくなる。おそらく部屋の貸し借りとはこういうものなのだろう。ただ、この家は書類要らずの契約つまり口約束だから、追い出される時も一瞬で、同居人曰く、過去に住んでいた日本人の青年は家賃の滞納でこのアパートを追放され、出禁になったそうだ。

 

「はなちゃんが住んでる部屋の向かい側の部屋には、今、日本人の50代のおっさんが住んでる。」

「へえ。50代にして一体なんでこんな街に住もうと思ったんだろうなあ、で、どんな人?」

陰謀論を信じてる。毎日ユーチューブを見て"勉強"してるって言ってた」

 

つまり私はこんなにも近くで陰謀論信者と暮らしているのか。一回出会って捕まると長々と話をされるらしい。それに加えて、ニューヨークでは原則マスク無しでは店舗には入れないのだが、その人は絶対にマスクを着けないらしい。同居人は出くわした時、君もマスクを着けてるのか!と軽く説教をされた。同居人は話しながら若干呆れて「ああいうのがいると他のアジア人が偏見食らうからやめてほしい」とつぶやいていた。まったく、そのとおりですわ。

 

 

 その話を聞いてからというもの、謎に向かい側の部屋を意識するようになった。このアパートが安い理由の一つとして、キッチンとバスルームが共用。なるべく清潔を保つのは当たり前として、誰かが廊下を歩いている時はすれ違わないようにする。だから顔は合わせないし、これを書いている今もまだ私はそのおっさんの顔を見たことはない。

 

 ある日、外出しようとして部屋を出た時に、そのおっさんが入居している部屋から大きな音でテレビかラジオの音が聞こえた。英語で何かを読み上げている。こんな大音量で何を視聴してるんだと思い、若干集中してその音声を聞き取ろうとする。「Space War」について話していた。ああ、多分本当なんだろうな、知らないけど。今、 Duckduckgoで調べているところ。私は何をしてるんだろう。

 

 

 

 

 

続く

 

タイトル未定(ニューヨークの旅)その2

 ピザ一枚2ドル。勢い余って二枚注文したら、口の中が荒れた。後々喉が乾くのは知っていたので、飲料はカバンに入れておいた。メキシコ人3人で店を回している。全員、感じのいい振る舞いをしている。コロナウイルスの流行を経て数々の店舗が潰れる中、このピザ屋はむしろ派手さを増して、以前あった素朴な印象は一切ない。70年代のアメリカ郊外を思わせるような店内はLEDでギラギラとして、メニューの文字には蛍光色のポップがついた。メニューも増えている。前の店主はどこに行ったのだろう。ともかく、ピザの味は美味しくなっていた。

 

 メキシコ人街と中華街の狭間が、自分の住んでいる場所。マンハッタンの喧騒から逃れ、チェーン店が一切進出していない、ある意味で煙たがられている、手の出しづらい街。私が住むアパートは、一切の書類が無くとも1ヶ月につき500ドルから650ドル払えば住むことができるから、身元の怪しい人々が暮らしている。2019年にもこのアパートで部屋を借りていた。早朝に共用スペースであるキッチンから怒鳴り声が聞こえて恐怖したこともある。しかし、これはご愛嬌だろう。それがここの日常だ。

 

 

 電車に乗り込む。一応、快速。発車してからスピードが出るまでが遅く、時々止まる。ゴミだらけの線路と、壁のグラフィティを眺めて、ここの景色だなあとしみじみする。複数の車線があるこの線路の中心にまでゴミを投げ込むのは大変だろう。それに、その線路を普通に走るこの電車はどうなっているんだ。

隣駅について、そこからは快速らしい日本のJR線にも負けない速さで真っ暗のトンネルを走る。雪が降ってきたが、見えなくなった。

 

 

 

 

続く

 

タイトル未定(ニューヨークの旅)その1

 一年半ぶりにニューヨークに来た。ご時世なのであんまり公開アカウントで大々的にはいえないけど、私にとってこの春休みが人生最長の休暇になる可能性があるので、無理やり来てしまった。陰性証明書が必要だったり、入国審査がやたら厳しかったりと大変だったけど、空港を出てからは何も干渉されることがなく逆にビビる。今日で渡米4日目になり、だんだんと馴染んできた。これまで書いていなかった文章を少しずつ書いていこう。

 

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デート記録

2021年3月 

 

 プランを立てる連絡を取り合った時、「デートって何するんだっけ」と思った。これは久しぶりの体験だった。友達と遊ぶ時も、特に高校の時はどうやって遊ぼうかと考えることもあったが、いつの間にかそれはカフェでの集会へと、雑談へとアジャストされていった。洒落た店内やメニューにはあまり興味がないので、友達を誘うきっかけがなかったが、時々デニーズのパンケーキとドリンクバーが一役買ってくれて、放課後に寄ったりした。

 デートもプランを考えるのも同様に苦手で、一人なら遠出もするのに、二人のデートプランは予定を考える段階で嫌になる。よく考えてみればこれまでのデートも、お互いの仕事関連のイベントだとか、ライブや展覧会の予定に合わせてお互いの都合をつけていた。渡米前の最後の1日だから、なんとなく特別感は欲しい。みんなどうしてるんだろう。

 

そんな感じで迷った挙句、今回のデートはウナギ屋さん?にいってひつまぶしを食べた。このお店は2019年のクリスマスにも来たので、久しぶりといえば久しぶり。うなぎのうまさは文章で書けば書くほど本来の良さが失われる気がするのでこれ以上書きませんが。

 

ゆっくりご飯を食べるのがとても楽しかった。その後に始めでブルーなんとかコーヒーに行ってコスタリカの豆を選んで飲んだ。これも美味しかった。

 

何書こうとしたか忘れた。ま、いっか