山の上

だいたい自分のために書いてる

しょぼい東京タワーの感想

高校生の時になぜか江國香織の小説が好きだった。今は何も覚えてなかったから暇だしもう一度読み返すかと思って昨日読み始めたら、長編なのに一日足らずで読み終わってしまった。というか、自分は本を長い期間かけて読むのが苦手で、本は好きだけど開くまでに時間がかかる…

言わずと知れた不倫系の物語だった。
ここから下の感想はかなり私事を含むから注意。






基本的に私が40オーバーの男とも関係があることを踏まえてだらだら書く

 

 まず主人公たちが同い年の学生を"愚鈍だ"と比喩するのはまあ極端だけれど、わかる。それが同級生と付き合えない理由だったりするなと思ってる。ここでいう愚鈍な人というのは(飲み会にかかわらず)話ごえがうるさい人とか、やたら人間関係乱しにかかる人とか。関わってなくても近くにいるだけで嫌なのに、そういう人と恋愛できる人はすごいなとか思う。
 「かわいらしいというだけで恋におちるなんて、みんななんて謙虚なのだろう」という文を読んだ時にはハッとしたというか、いやハッとしたわ!。より社交的で社会的で、並の人よりもかつて傷ついて立ち直った人は何となく綺麗だし、よさがにじみ出ているなと自分は思っているんだけど、そういう人生のイベントをより経験しているのは年上の人間が多いわけで、多分それが登場人物の若い男たちと私がグッと年上の人に惹かれる理由なんだろうな。結婚してるとかもう自立して働いてるとか、あんまり学生みたいにグダグダしたりしない生活を長い間送ってる人は、私(若いの)なんかを相手にしてる時は楽々やっちゃう。というか、その人の持ってるエネルギー10%以下くらいで私に接せちゃう感じがあって、多分これが余裕ってやつなんだけど、ああ、いいよね…。
 話の中でも、大学生をするってかわしちゃうアラフォーの女性達がまたいい感じ。だしリアルだなー。でも面倒見が良すぎる年上の恋人(?)ってなんか欠けてる。面倒見が良すぎるのはなんとも、若いから付き合ってるんだとか思わされるというか。とりあえずなんかいいところをかわされるのがいいんだよね。わかるぜ…!

 どうにも女ったらしの登場人物にはのめりこめなかったので、この小説ではどちからというと透の方ばっかり印象的になってしまう。というのも、軽井沢で置き去りにされた時は、不倫相手になったことのある人なら多分何回も感じたことのある現象のように思えたから。あれは単に可視化されただけじゃなくて、そのショックとかもうまく描写されていた気がして胸が痛かった。あの部分読んだ時、自分が不倫相手だったことをよく思い出した。嫁と子供が外出しているからと誘われて不倫相手の家に一泊した時とか、始まりはよかったしドラマかと勘違いするほど清々しかったけど(土砂降りの日で、午前1時にグランドセントラルから郊外へ出る列車の最終に乗った)、帰り道どうしようもなく悲しかった。あれは完全に透が新幹線に乗って東京へ帰る描写と一緒なんですよ。。。。。。さっきの出来事がすごく以前のように感じたし、物理的にも遠くになっていく人のことを考えると、もう、考えるたびに現実味が失せていく。
 一方で女ったらしだった耕史の方は完全なるフィクションとして楽しんだ。この彼は如何しようも無い女の人たちに意図的に近づいたり、時には近づかれたりして大変なことになるわけだけど、女の人が怒る描写は面白かった。笑えるとかじゃなくて、なんか男性目線で見れることが面白い。

しょうもない感想を書いてしまったけども、年上となんか色々あった人なら息を詰まらせながら読める本だし、そうじゃなくてもさっぱりした恋愛小説だったと思う。新居にも持って行こうかな。